委員 兵頭 竜
委員 三宅 浩正
委員 森高 康行
〇
欠席委員[0人]
〇その他の出席者[4人]
参考人 村尾 梢
参考人 矢野 照久
参考人 山本 英貴
参考人 松田 一也
〇
出席理事者[4人]
(
県民環境部)
環境局長 入舩 理
環境政策課長 吉田 万弓
環境技術専門監 高市 恭弘
(
経済労働部)
産業政策課長 大内 康夫
午前10時1分 開会
○(
岡田志朗委員長) ただいまから、
防災減災・
エネルギー対策特別委員会を開会いたします。
初めに、出席者を紹介いたします。本日は、
経済産業省及び
三浦工業株式会社から
参考人をお招きしております。なお、
経済産業省からは、リモートにより御出席いただいております。
それでは、まず、
経済産業省の
村尾課長補佐から順次
自己紹介をお願いいたします。
○(
村尾参考人)
経済産業省資源エネルギー庁の
省エネルギー・新
エネルギー部新
エネルギーシステム課課長補佐をしております村尾と申します。本日、このようなオンラインでの形となってしまいまして申し訳ございません。
省エネルギー・新
エネルギー部は、
省エネルギーや
再生可能エネルギーといったところを扱っている部署でございます。本日、特に水素に関してということでございましたので、新
エネルギーシステム課で水素に関して政策を打っているところでございますので、当課からも説明をさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。
○(
岡田志朗委員長) 矢野さんはいらっしゃいますでしょうか。矢野さん、お願いします。
○(
矢野参考人)
四国経済産業局で
カーボンニュートラルを担当しております矢野と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
日頃から脱
炭素分野におきましては愛媛県、とりわけ
環境政策課とは連携、御協力をさせていただいておりまして、この場をお借りしてお礼を申し上げます。
本日は、
資源エネルギー庁の村尾から
水素政策についてお話しいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○(
岡田志朗委員長) 続いて、
三浦工業株式会社の
山本ブロック長から順次
自己紹介をお願いいたします。
○(
山本参考人)
三浦工業の山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
弊社は産業用の
ボイラーを中心に、日本、海外で
事業展開をしておりまして、
カーボンニュートラルに向かって、電力は非常に議論が進んでいる中で、
産業熱が非常にインパクトはありながらもまだまだこれからの議論が必要ということで、この後、御説明を差し上げますけれども、
産業熱の脱炭素がなされなければ、日本としての目標も達成できないという使命感を持ってやっております。政府並びに県の皆様の御指導をいただきながら積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。
○(
松田参考人)
三浦工業の松田と申します。よろしくお願いいたします。
私は
四国統括部を担当しておりまして、弊社では、先ほどもありましたように、
ボイラーを中心とした熱機器だけでなくて、
食品機械だとか
医療機械、
あと水処理機械などをやっております。その中の拠点側の営業とメンテナンスを担当しております。今回のテーマでもある
カーボンニュートラルでは、当然、今日のお話の水素もあるんですけれども、まずは省エネというところを一番お客様に近いところで仕事をさせていただいております。その
四国統括部、四国内に5支店と1営業所がございますが、そこを担当しておりますので、今日はよろしくお願いいたします。
○(
岡田志朗委員長) 以上で出席者の紹介を終わりますが、入
舩環境局長、
吉田環境政策課長、
高市環境技術専門監、
大内産業政策課長も同席していただいておりますのでよろしくお願いいたします。
本日の
委員会は、まず
経済産業省からの説明、質疑を行い、
経済産業省退席後、休憩を挟んで、
三浦工業株式会社からの説明、質疑を行いたいと思います。
それでは、これより議事に入ります。
本日の
会議録署名者に
森高康行委員、
高橋英行委員を指名いたします。
本日の議題は
水素エネルギーについてであります。
それでは、
村尾課長補佐から説明をお願いいたします。
○(
村尾参考人) 早速でございますが、説明を始めさせていただきたいと思います。
1
ページ目でございます。本日でございますけれども、
カーボンニュートラルへの道筋、
水素社会の実現、実装に向けてということで、最近の取組をご紹介させていただきたいと思います。
2
ページ目をお願いいたします。
カーボンニュートラルへの道筋ということで現状を簡単に御説明させていただきます。日本のCO2排出量は世界で5番目で、世界全体の3.2%を占めております。その大半を
エネルギー起源が占めているということで、こちらのCO2の排出の削減をしっかりしていくことが重要になってきます。
3
ページ目をお願いいたします。
2050年に
カーボンニュートラルにコミットしている国ということで記載させていただきました。2050年までに
カーボンニュートラルに向けて取り組む国と地域は144ございます。日本も当然この中の1つとなっております。これらの国における世界全体のCO2排出量に占める割合は42.2%となっております。こういった形で世界を挙げて
カーボンニュートラルに取り組んでいくということが非常に重要でございます。
4
ページ目をお願いいたします。
日本における2050年
カーボンニュートラルへのコミットで、
皆さん御存じだと思いますけれども、2020年の10月26日に菅前総理が2050年
カーボンニュートラルの宣言をいたしました。それに基づいて、我々も、第6次
エネルギー基本計画では、
エネルギー分野を中心とした2050年の
カーボンニュートラルに向けた道筋と取り組むべき政策を示しており、こういった
エネルギー基本計画などに基づき、我々は政策をつくっております。
5
ページ目でございます。
カーボンニュートラルへの道筋(政策の方向性)というところでございます。全部門を通じて省エネを徹底するということは基本の政策でございます。
次に、電力の脱
炭素化でございます。脱
炭素化に関しましては、再エネの
最大限導入、
原子力もございますけれども、あとは水素、
アンモニア、CCUS、
カーボンリサイクルなど様々な手法を追求していくということでございます。
産業、民生、運輸の部門などについては電化の推進、熱需要については、
水素化、CO2回収で脱
炭素化を目指すといったところを検討しております。
いずれにせよ
カーボンニュートラルへの道筋は、
技術革新、
社会変化など不確実性の道でございまして、目指すべきビジョンとして捉えて様々な政策を総合的に進めていくということになっております。
次のページをお願いします。
6
ページ目以降、水素のお話をさせていただきます。
7
ページ目をお願いいたします。
水素分野における戦略、目標について御説明いたします。水素につきましては、2017年12月に世界で初めて
水素基本戦略を策定しております。この日本の
水素基本戦略を皮切りに、EU、ドイツ、オランダといった各国も
水素戦略を策定し、次々と動きが加速化してきたという経緯がございます。
水素に関しましても、
水素基本戦略については2020年10月の
カーボンニュートラル宣言以前に取りまとめておりますけれども、この
カーボンニュートラル宣言を受けて、またさらに水素の取組は加速化しております。現在は、GXの検討も踏まえ、
需給一体での取組により
導入量の拡大と
供給コストの低減を目指していくというところが基本のスタンスとなっております。
ページの真ん中に、
グリーン成長戦略における量及び
コストの目標という記載がございます。現在の我々の足元の政策はこの供給量及び
コストの目標を見据えながら政策を進めており、
導入量につきましては、現在は副
生水素等も含めまして約200万tの水素が市場にございますけれども、これを2030年にクリーンな水素も含めて最大300万tに
導入量を増やしていき、2050年には2,000万t程度にしていくという目標の下、政策をつくっております。
また、
コストにつきましても、長期的には
化石燃料と
同等程度の水準を実現していく必要があり、現在、
ステーションでの
販売価格ですと100円/Nm3、これを2030年、30円/Nm3にしていき、さらに2050年には20円/Nm3にしていくというところでございます。
足元のLNGの価格は比較的高騰しておりますけれども、これを水素の/Nm3の値に換算しますと大体35円ぐらいになるという計算と思っていただければと思います。
あとは、一番下にございますが、第6次
エネルギー基本計画において、2030年の
電源構成のうち1%程度を水素・
アンモニアとすることを目指しております。
次の
ページをお願いいたします。8
ページ目でございます。
政府の戦略につきまして、こういった方針でというところを示しております。日本が強みを発揮できる5つの
戦略分野として、輸送、
国際水素サプライチェーン、
水電解装置、
水素発電、あとは産業での利用というところを主に重きを置いております。
政策ツールとしては、当然ながら
技術開発や予算も含めて、様々な支援、制度という特定の整備を総動員している状況でございます。
次の
ページをお願いいたします。
戦略分野について、簡単ではございますが1つずつ御説明いたします。
輸送部門につきましては、これまでFCVを進めておりました。現在、大体7,600台程度普及している状況でございます。また、
水素ステーションについては、整備中も含め179か所整備しております。FCVについては、乗用車だけでなく、
燃料電池の特性というところも生かして、今後、基本的にはトラックですけれども、バスなども含めた
FC商用車の普及、それに基づいた
水素ステーションをマルチ化していくというところを推進していきたいと思っております。
こういったことを今こちらでは
商用車検討会で議論をしており、戦略的な
商用車の普及及び
ステーションの配置を議論しているところでございます。
今後、船、あとは鉄道も含めてですけれども、様々なところで
燃料電池などが使われていくことも当然想定されておりますので、こういったところでの活用を
技術開発なり、実証なりというところでしっかり後押ししていくということでございます。
10
ページ目をお願いいたします。
次に、
国際水素サプライチェーンでございます。水素を安く、ある程度の量を導入していくということになりますと、海外から水素を持ってこなければなりません。輸入に関する
サプライチェーンの構築というところで、今
グリーンイノベーション基金なども活用して実証を検討しております。
液化水素については、オーストラリアから
褐炭水素を製造して
液化水素にして日本に輸送するという実証を2022年の4月に初めて成功いたしました。こちらが左下にございます
液化水素運搬船の「すいそふろんてぃあ」で、さらに運搬船を大型化していき、大量の
液化水素を運べるようにというところで
グリーンイノベーション基金を現在活用しております。
ほかにも、
メチルシクロヘキサンというキャリアで水素を輸送することができます。
メチルシクロヘキサンにつきましては、トルエンという物質に水素がついている状態ですけれども、ブルネイにおいて
天然ガスから水素を作り、
水素化プラントでMCHに変換をして、日本において脱
水素プラントで水素に変換するといった、そういった世界初の
国際輸送実証を2020年の12月に完了しております。こちらは実証でございますので、これをさらに大型化していくというところで、こちらも
グリーンイノベーション基金で検討をしております。
現状の
サプライチェーンの状況というところを説明いたしました。
次の
ページをお願いいたします。
11
ページでございますけれども、
水電解装置の御説明をさせていただきます。
水電解装置は、水と電気を使って水素ができるという装置でございます。
水電解装置につきましては、再エネが大量導入された場合には安価な余剰再エネを活用することもできますし、
電力分野の脱
炭素化を進める上での
基幹商品と捉えております。
日本におきましては、現在、左下にございます
福島水素エネルギー研究フィールドによって実証を行っております。こちらの
福島水素エネルギー研究フィールドは、10MWの
水電解装置を置いており、現状の国内に存在する
水電解装置としては最大級になっております。2020年から実証という形で現在も稼働しております。
水電解装置につきましては、これをどんどん大型化していく、そして
製造効率をどんどん上げていくというところが今の
研究課題となっておりますので、それを具体化、実証化、実用化していくフェーズに入っております。
右側の絵にございます
GI基金での
技術開発例と書かせていただいておりますけれども、山梨県でも、
グリーンイノベーション基金を活用して
水電解装置の大型化について、今実証をしているところでございます。2030年に欧州と遜色ない
コスト水準、
コスト水準と申しますのは、装置の
kW当たりの単価になりますけれども、それをできるだけ安くしていく、そういった実証を進めているところでございます。
次の
ページをお願いします。
4つ目の
戦略分野として、
水素発電でございます。
燃料電池も含んでおりますが、
燃料電池は
モビリティと定置用、2つの用途が想定されます。この
燃料電池につきましても、欧州もかなり
研究開発しておりますので、日本としてもこれからも
研究開発で後押ししているというところでございます。
モビリティにつきましては、先ほども申し上げましたが、電気よりも水素のほうが
エネルギー密度が高いという特性を生かし、長い
走行距離、あとは短い充填時間を実現することが可能でございます。そういった特性を踏まえると、より
商用車は向いているということでございます。
また、定置用の
燃料電池につきましても、高い
発電効率及び
電熱供給が可能でございますので、
エネルギー源の多様化が図られて
レジリエンス向上に資するということで、我々としても推進をしているところでございます。
次の
ページをお願いいたします。
先ほど
燃料電池の話をしましたが、
水素発電ということで、
大型タービンに水素を混焼あるいは専焼していくというところも開発をしております。現在は、下にございますけれども、
大型水素発電の
開発動向というところで、燃焼器につきましては、混焼用の燃焼器の開発が完了しており、30%の混焼などが現在できる状況になっております。今後、専焼用の燃焼器も開発いたしまして、2025年に開発が完了する見込みでございますので、その実用化を今後進めていき、
グリーンイノベーション基金を活用しながら、
水素発電を実際に大型の
タービンで活用していくところを後押ししているところでございます。
次の
ページをお願いします。
5つ目の
戦略分野として、
産業部門での原料・
燃料利用でございます。
鉄鋼分野では、炭素ではなくて水素を還元剤として利用する
水素還元製鉄なども
技術開発されておりますし、また、
産業プロセスで高温の熱源が必要な
プロセスがございます。そういったところで水素を活用して、
バーナーなどで燃やしていただくことが可能でございます。我々としても様々な活用を期待しておりますので、特にこういった産業、工場での利用につきましても着目しております。
具体的な事例として、
コーヒー豆の焙煎所であるUCCの山梨焙煎所、こちらの熱源として、水素を活用した
コーヒー豆の焙煎を実証していくというのが一つと、あとは
デンソー福島で、
製造ラインのガス炉において、
電気ヒーターと
水素バーナーを活用して
化石燃料を代替するというところを実証していきます。
こういった取組を実証という形で増やしていきながら横展開していくということを現在狙って、
予算措置なども行っているところでございます。
次のページをお願いします。
水素に関しましては、こういった方向性で政策をつくっておりますけれども、直近の動きとして簡単に御説明させていただきます。
16ページ飛ばしまして、17
ページをお願いいたします。
17
ページですけれども、水素・
アンモニアサプライチェーン構築に向けた
支援制度というところで、12月に
委員会を開催し取りまとめを行いました。この
支援制度は、水素はいろいろと申し上げましたけれども、まだまだ
コストは高くて、2030年ぐらいに
サプライチェーンの商用化というところが見据えられておりますが、2030年に実際に水素を販売する段階では、まだちょっと
化石燃料よりも高いというところが見込まれております。そういった段階ですと、なかなか水素を供給する
事業者も、これが本当に売れるのかリスクが付きまといますので、なかなか現状の
サプライチェーン構築の投資に踏み切れない状況でございます。そういった
供給事業者の
事業予見性を高めるという意味でも、こういった
支援制度を構築して支援していきたいと考えているところございます。
支援の
イメージはちょっと複雑ですので簡単に申し上げますと、水素ですと大体LNGの代替として使われることが多いので、水素の
コストと
既存燃料の価格差を支援していく制度になっております。大体15年ぐらい支援をし、対象となる水素・
アンモニアについて、できるだけクリーンな水素、このクリーンな基準というところもこの審議会の中で議論をしており、国際的に遜色のない基準というところを求めていく制度にしていきたいと思っております。
次の
ページをお願いします。
あわせまして18
ページ目ですけれども、効率的な水素・
アンモニア供給インフラ整備支援というところで、
拠点整備支援も併せて議論をしてきました。こちらにもありますが、広域的に、特に効率的に拠点として整備していくという観点で、今後10年間で大
規模拠点3か所、中規模5か所程度を整備していきます。こちらについても具体的な時期はまだ議論中ではございますけれども、
支援制度イメージというところに記載がございますように、まず
拠点整備の事業性の調査から支援をし、最後の
インフラ整備というところまで、選ばれた拠点については支援していくという構想でございます。こちら2つを併せて、しっかり
事業者に
サプライチェーンの構築などをしていっていただくことを想定しております。
水素のお話につきましては今申し上げたところで、私からの説明は以上とさせていただきます。
○(
岡田志朗委員長) 以上で説明が終わりましたので、画面同期を解除します。中央に発表者が会議を終了しましたの表示が出ますので、その下のオーケーを押してください。よろしいでしょうか。これで同期は解除されました。
それでは、委員の皆さん、議題に関する質疑はありませんか。
○(
兵頭竜委員)
水素エネルギーに対しての様々な可能性、課題等々もお聞かせいただきました。根本的なことを聞きたいんですけれども、
水素エネルギーをずっと議論をされて、いろんな
実証実験もされながら将来を見据えた展開をされておりますが、
水素エネルギーの普及について、
スケジュールどおりに大体進んでいると理解してよろしいでしょうか。
○(
村尾参考人) 2017年の
水素基本戦略の中で様々な
スケジュールをつくってきました。2030年を基本的に目標として様々定めていますけれども、
サプライチェーンの構築とか大まかな水素の供給の
コスト、供給量などにつきましては
スケジュールどおり順当に進んでいると思います。
ただ一つ申し上げるとすると、FCVについては、当初は2025年に20万台といった目標になっていますが、それはなかなか難しい状況になっているというところでございます。当時はあまり
FC商用車の議論などはなくて、基本的に乗用車の議論だったと認識しておりまして、我々も今のFCVでの状況はしっかり結果を見据えながら、次の
FC商用車へ展開を検討している状況でございます。
○(
兵頭竜委員) 7
ページに
コストのことが書いてあり、現在と2030年の
コストの話も出ていましたけれども、このとおりいけるのかなと聞きながら思っているんですけれども、そういったこともある程度順調に今はいっているという理解でよろしいんでしょうか。
○(
村尾参考人) おっしゃるとおりで、
導入量は結構この目標以上に、
事業者の皆さんが用意されようとしている状況ですけれども、
コストはなかなかここまで下がらないかもしれません。
グリーンイノベーション基金で今支援しようとしている案件については、30円をしっかり出していくことという目標を置いてもらっておりますので、その
サプライチェーンについては30円というところまで到達する見込みでございますけれども、なかなか
サプライチェーンごとに、特に輸入してくるものについては、上流側の水素の製造の
コストがばらばらなこともございまして、一律で30円まで持ってくるのが難しい状況でもございます。やはり再エネの水素ですごく高い水素になってしまう状況だとか、比較的安くできるとか、ちょっとばらつきが現在ある状況でございます。
そういったところを踏まえまして、今少し、先ほど価格差の支援というところを申し上げましたけれども、我々としても全部のすごく高い
サプライチェーンをあえて支援しようとしているわけでもなくて、むしろどういった
サプライチェーンを日本に導入していくべきか、例えば
全量ブルーの水素の
サプライチェーンばかり、あるいは中東に頼ってばかりの
サプライチェーンを含んでしまってはこれまでと変わりませんので、様々な場所から輸入してくる、それは
エネルギーセキュリティー観点というところもございます。また、先ほどの価格差の支援については、海外の輸入だけではなくて、国内の
水素製造も対象になってきますので、
国内水素との様々なバランスを考えて、どの
サプライチェーンを選んでいくべきかしっかり議論した上で案件を選ぶということをしていきます。
そういったことを支援して、ファースト
サプライチェーンはちょっと30円は難しい部分がありますけれども、徐々に量が多くなれば当然価格は安くなってきますので、早期に2050年、20円というところの目標は達成していくようにしたいと思っております。
○(
兵頭竜委員)
水素エネルギーは国民が知ってはいるものの肌では感じることがないような、まだまだそういった世界でもあるのかなと思います。しかしながら、
エネルギーなので、安価で安定的に供給するという大きな課題の中で、環境にも配慮しながらこれからの
技術革新等々に御期待を申し上げたいと思います。
最後に1点だけ、そういった中で分かりやすい指標というか、目にする施策として、9
ページにある179か所の
水素ステーションが今後、どのように増えていくのか、そういった
数値目標があれば教えてください。
○(
村尾参考人)
水素ステーションに関しましては、2030年に1,000基用意するという目標を立てております。ただ、今後、
FC商用車というところを見据えますと、目標としてはちょっと見直す部分もあるかと思いますので、一旦ペンディングということでお伝えできればと思います。
商用車の
ステーションですと、置く場所も含めて、サイズ感も違ってきますので、今目標をまさに見直し中というところでございます。2020年は160か所、2025年は320か所が
水素基本戦略に書いてある目標ですけれども、2030年の1,000基という目標は変えずに、そこをどういうふうにクリアしていくかというところが今議論中でございます。
○(戒能潤之介委員) 今の質問にも関連するんですが、
水素ステーションを今後、増やしていくという話も計画としては立てられているということですけれども、
水素ステーションの設置には莫大な費用がかかると前に聞きました。
水素ステーションを増やしても、そこに入ってくる車が普及しないと、当然経営は赤字になる。
水素ステーションをやろうかなというようなところも腰が重くなる。設置費用が当初は1億円を軽く超えるような話も聞いていましたが、今進めている
水素ステーションの場所とか規模にも当然よると思うんですけれども、通常のガソリンスタンドみたいな
イメージですると、一般的にはどれぐらいの設置費用がかかるんでしょうか。
○(
村尾参考人) 今この瞬間幾らというのが申し上げにくいんですけれども、1億円はいかないぐらいではありますが、やはり高額ではございます。すみません、この瞬間、数字を正しく出せていないんですけれども。
○(戒能潤之介委員) 10
ページを見ていると、褐炭からの
水素製造、
液化水素の大規模な海上輸送に成功、それとブルネイでの
天然ガスからの
水素製造とありますが、褐炭から水素あるいは
天然ガスから水素を製造する過程で、CO2は出ないんですか。
○(
村尾参考人) 出ますので、出たCO2を必ずCCSするなりしてクリーンにしていただかないと、今後の我々の支援の対象にはなっていきません。
ここに書かせていただいた褐炭から水素を製造した
サプライチェーンについては、まだCCSの技術ができてなかったので、この時点ではCO2が出ている水素になっていますけれども、今後、
サプライチェーンを拡充していくというフェーズになれば、CCSを併せてやっていただくことになっていきます。
○(川本健太委員) 先ほどの兵頭委員、戒能委員の質問に関連してなんですけれども、9
ページのところでFCVの話が出ていたと思います。トヨタが結構、水素自動車に関しては力を入れていたような
イメージはあったんですけれども、世界的な流れとしてはEVにかじを切ったというふうに感じていまして、2030年代にはガソリン車の販売もしなくなる、ゼロにするというような話もある中で、実際、世界的に見て、FCVの普及に関してはどういうふうに見通しを立てているのか、まずはそこのところをお聞かせいただきたいと思います。
○(
村尾参考人) 欧州なども同じように基本的に
商用車の普及というところにかじを切り始めております。中国とかもバスの普及をまずさせていくという戦略でしたし、基本的には乗用車ではなくて、大型の車をどんどん増やしていくという方向になっています。
逆に言うと、長距離を走るような車に関しましては、EVよりもFCのほうがメリットがあるということで、各国はそういう戦略を取っているという状況だと認識しております。
○(川本健太委員) そうすると、まずは大型の
商用車を普及させて、その後、乗用車にもそれが普及していくというような
イメージでよろしいでしょうか。
○(
村尾参考人) まさにそうでございます。逆にFCVが普及しないのは、
水素ステーションが近くにないからという声も当然ございますので、
商用車を増やしていくことによって
水素ステーションの数もどんどん増えていけば、併せてFCVにも活用していけると、そういう循環が生まれるといいなと思っています。
○(川本健太委員) なかなか数字的なことは答えづらいのかもしれないんですけれども、かなり長いスパンでの中長期的な取組になるんじゃないかなとお話を聞いて思ったんですけれども、我々が実際に自分の自家用車として、こういったFCの乗用車に乗れるという時代は大体いつぐらいになるとお考えなんでしょうか。
○(
村尾参考人) ちゃんと数字が出ておりませんのでなかなか答えづらい部分ではあるんですけれども、多分2030年とかにやっと
FC商用車がどんどん普及していくような絵姿というところだと思っております。2030年ぐらいに
商用車がどんどん立ち上がって、実際に乗用車までいくとすればその後、2035年だったり、2040年だったりとか、それぐらいにはなるんじゃないかなと思います。
○(
森高康行委員) 不勉強だったんですけれども、実装までいっているんだなということでびっくりいたしました。ただ菅内閣で決めた当時の背景から、例えばウクライナ戦争が長期化しそうという問題とか、急激な円安が進んで経済的な打撃を受けている製造業が日本で多いということなども含めて、何らかの見直しなり、急げというのか、ちょっと待てというのか、何かそういうちょっと大きな議論になるんですけれども、政策的に影響を受けた今の戦争、それから円安、オイル高、こういう要素の中で見直しなり、影響を受けた点なんかございますか。
○(
村尾参考人) 水素という観点で申しますと、やはりこんなに
天然ガスの価格が上がるということがあまり想定されていなかったと思います。なぜかというと、当時はやはりブルー水素のほうがしばらくは安く、
化石燃料から作る水素のほうが安く最初は入ってきて、それが主流になり、
再生可能エネルギーも価格が安くなった暁にはグリーン水素に変わっていくという、そういう絵姿だったようですけれども、やはり直近のガス価格の高騰というところを受けて、むしろブルー水素というのはあまり安定的な価格にならないんじゃないか。グリーン水素のほうが安定的に導入ができるんじゃないかという議論もございます。水素はどちらかというと長期的な、直下一、二年で動くような話というよりは、2030年以降を目指しているというところもありますので、そこまで大きな方針の転換というところまでは影響していないと思っています。
大きな
エネルギー政策全体の話で申しますと、当然ながらウクライナと円安の話については影響を受けていると思いますけれども、電気料金の高騰とかも含めて、そのあたりについては敏感にやっております。
○(
森高康行委員) あえて宣言して、導入して、国際的な公約にして進めていることではあるんですけれども、当時の議論として、例えばメリットはこうなんだけれどもデメリットもこういうのはないかという議論があったと思うんですが、あえてデメリットとしてはどういうことが想定されたのか。いろいろ変化した、全体条件が変わってきたということはあろうと思うんですけれども、あえてデメリットと問われればこういうものかなというのを教えていただければと思います。
○(
村尾参考人) 私自身が今あえてデメリットではないかと感じているということでお伝えしますと、水素というのは何かから作らないと製造できない2次
エネルギーということがありますので、やはり一般的には
コストが高くなる方法でしかないということが一つだと思います。
もう一つは、水素自身が持っている
エネルギーが、ほかのLNGとかより分子的に小さいというところがあって、
エネルギー密度が低いというところがありますので、それがいい意味に作用することもあるんですけれども、例えば発電とかに使うと効率が若干悪くなる。LNGをそのまま燃やしたほうが少量で温度が上がるとか、そういったところはあると思います。よくそこはデメリットとしても言われるところかなと思います。
○(
岡田志朗委員長) そのほかございませんでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○(
岡田志朗委員長) それでは、質問もないようですので、以上で
経済産業省への質疑を終了いたします。
本日はお忙しい中、
村尾課長補佐及び矢野参事官におかれましては、当
委員会に御出席いただきまして大変ありがとうございました。
暫時休憩いたします。この時計で11時から再開いたします。
午前10時50分 休憩
――――――――――――――
午前11時2分 再開
○(
岡田志朗委員長) 再開いたします。
質疑を続けます。
最初に、
三浦工業株式会社の
参考人から説明いただき、その後、質疑を行うことといたします。
それでは、
山本ブロック長から説明をお願いします。
○(
山本参考人)
三浦工業の山本でございます。
改めましての
自己紹介の補足でございますが、
三浦工業は今ブロック制になっており、10ブロックぐらいに分かれております。私たち熱利用技術ブロックは、以前は新事業開発本部と呼ばれていまして、そこが名前を変えて、主に
カーボンニュートラルとか
水素エネルギー、
三浦工業の新しい事業を立ち上げるというものを担っている部門でございます。
それでは、2
ページ目、私どもの会社概要ですけれども、書いてあるとおりです。中でも御説明するのは、今6,000人ほどの会社になっておりまして、約3割は海外で日本の優れた貫流
ボイラーという技術を展開しております。愛媛県松山市に本社を置きながら、日本一のシェアをいろんな分野で持っており、中でも貫流
ボイラーのシェアではナンバーワンということで、この技術を海外に展開している状況でございます。
先ほど森高委員の御質問でありましたけれども、私ども海外でいろいろやっているので情報がありまして、今ウクライナでの惨事とインフレに対して、
カーボンニュートラルがどう変わっていっているかというところですけれども、間違いなく加速していると感じております。例えばEUですと、今までの
カーボンニュートラルというのは
エネルギー政策を非常に加速させる目的で脱ロシアを明確に言葉にしまして、イコール
化石燃料、ロシアに頼っていた
化石燃料からの
カーボンニュートラルへの移行ということでいろんな政策投資を加速させているということと、8月ぐらいにアメリカでバイデン政権下で承認されましたけれどもインフレ対策法案、すごい規模ですね。4,300億ドルですから、日本円にすると60兆円ぐらいの予算をつけてやっていくという対策なんですけれども、これは85%が気候変動対策に使われるということなので、まさに
カーボンニュートラルに大きな巨額の資金を投入するというような状況でございます。なので、加速しているというふうに思っております。
説明に戻ります。
3
ページ目の
ボイラーですけれども、私どもは創業63年で、それ以前は炉筒煙管
ボイラーとか水管
ボイラーという、非常に大きくて、中に水をたくさん蓄えて、資格者もいるというようなものが主流でした。創業者の三浦保たちが貫流
ボイラーというコンパクトで出力も高く、安全性も高い
ボイラーを開発し、それが世に受け入れられ広がってきたということで、
ボイラーの蒸気はいろんなところで使われているんです。クリーニング屋、豆腐屋、食品、化学、自動車産業、今では産業にはなくてはならない熱
エネルギーになってきています。
4
ページ目が、日本での業界シェアでございます。創業63年で貫流
ボイラーがほぼ主流になってきまして、今座っている
ボイラーの8割が貫流
ボイラー化しております。左側の円グラフ、残り20%ぐらいがまだ昔のタイプの
ボイラーが座っているんですけれども、出荷ベースでいうと九十数%が貫流
ボイラーになっておりますので、国内は動的シェアにどんどん静的シェアも変わっていくという状況です。
右側の円グラフですが、貫流
ボイラーにおいて、弊社は大体60%ぐらいのシェアをいただいており、残りの4割を大手企業も含めて8社が分け合っている状況でございます。川崎重工業やIHIもその中にありますけれども、好評価をいただいて、こういう大きなシェアをいただいているというところでございます。
次の
ページが、それを海外で見ますと、貫流
ボイラーは非常に特徴的な戦える技術で、まだまだ伸び代はあるんですが、ここで数字を見てほしいのが、
三浦工業の国内の8.5万tというシェアです。これは蒸発量で8.5万tの容量が座っていまして、これをWに直すと53GWという非常に大きな数字になります。これを電化しようと思うと、非常に大きな、53基分の原発を建てますかというような、それぐらいのインパクトがある。我々としてもそこをどうにかしていかないといけないというのが社会的な義務と思っております。
次の
ページ、ちょっと古いですけれども、2019年度の日本のCO2排出量は大体11億tで、そのうちの25%が
産業部門で使われております。その
産業部門の
エネルギー利用のうち6割が熱利用、残りがほぼ電気というような状況で、非常に大きなものが熱
エネルギーとして使われています。その熱利用のうち大体12%が弊社の製品ということで、弊社の製品が日本で出しているCO2排出量の2,000万tを超えるということですから、日本の11億tに比すると大体2%ぐらいは弊社の製品が出しているということで、必死でやらないといけないなというところでございます。
言いたいことは、電力の脱炭素は非常に分かりやすい道筋がもう既に見えていると。いろんな課題はあるにしても、ストーリーが立てやすいという中で、産業
エネルギーの熱分野をどうするかは様々なシナリオに備えていかなければいけません。一部は電化、電気
ボイラーに変わったり、ヒートポンプというエアコンの延長の技術に変わっていったり、燃料自体が水素に変わる、また、
アンモニアであったり、バイオマス燃料、そういった様々なシナリオに今は備えた
技術開発をやっているというフェーズでございます。
次、8
ページ目ですけれども、
カーボンニュートラルに向かって、お客様に対してどういうアプローチをしていくかを簡単にした図でございます。横軸が
エネルギー消費量、縦軸が炭素排出係数で、その面積がCO2排出量に当たります。まず今やるべきは、まさに
エネルギー消費量の削減、省エネです。これがなぜ大事かというと、先ほども議論がありましたが、水素の価格は非常に高価であって、将来的に安くなるかというと、今と同じ価格は非常に厳しいんじゃないかと思います。簡単な計算ですと、水素を1立米作ろうと思うと、一番いい効率で5kWの電気を使います。5kWの電気、今、電気が
kW当たり大体30円ぐらいですか。掛け算していただくと、そういうものが原価になるんですね。託送とか輸送が入って、支払う価格になる。そういったオーダーのものと同等レベルというとなかなか課題も大きいですから、将来の高
コストにならざるを得ない
エネルギーに備えて、今できる限り下げておく、これが今やるべきことではないかと考えております。
それで、ステージ1では省エネを進めながら、ステージ2、Bのところですけれども、電力のグリーン化は
化石燃料エネルギーのグリーン化よりも早く起こっていく可能性が高くて、工場の
エネルギー、電気でできるところはなるべく早く電気に変えていくということも必要かなと。
3番目がステージ2でCのところですが、燃料そのものがグリーン化、
カーボンニュートラルになっている。これは水素であったり、ガス会社は合成メタンとか言っていますけれども、そういった燃料に変わっていくことで、CO2の排出量が削減できると考えております。
中でも、私ども複数のシナリオを今備えておりますが、今日はそのうちの一部の水素に関して御説明したいと思います。
では、10
ページ目ですけれども、
コストのところをクローズアップしましたが、例えば
カーボンニュートラルな
ボイラーに変えていこうと思うと電気
ボイラーに変えて、電力はグリーン電力を購入するというやり方であったり、水素
ボイラーに変える。あとヒートポンプで電化をするというパターンがありますけれども、表に示したとおり、ガスたき
ボイラーの設置面積、価格、
エネルギー費を1とすると、おのおのかなり負担は増えている状況でございますので、設備費一つ取っても、メンテナンスを取っても、ランニング
コストを取っても、今よりは負担が増えるという考えをしておくのが間違いないということでございます。
11
ページ目が、ステージ2で私どもが今、対外的に発表している取組でございます。
燃料電池の開発であったり、水素
ボイラー、あと今日、説明は割愛しているんですけれども、
水素製造装置にも取り組んでおりまして、一番右にあるものは大阪ガスから製造委託を受けて作っている
水素製造装置です。これは松山の工場で製造し、
水素ステーションでかなり多く採用いただいているんですけれども、中部国際空港ですとか、この間、私どもの東京支店の真横に開設された、JR山手線の新しい駅、高輪ゲートウェイ
ステーションにも私どもで作った
水素製造装置が導入されております。
では、
燃料電池の御説明に入りますが、このあたりはエネファームとかで聞きなじみはあろうかと思いますが、都市ガスを使って高効率な発電をし、発電に使われなかった
エネルギーをお湯に移して、お湯で回収するというものです。効果は右側の絵のとおり、発電所から届くまでに
エネルギー効率は40%まで落ちちゃうんですけれども、分散電源で使うサイトで発電をすれば90%を超えられるということで、分散電源の非常に魅力的な価値があります。あとは災害時でも今この技術が注目されていまして、最近は10年に一度の災害が毎年起こっているような状況で、1週間、千葉で停電したときにエネファームがある家庭は、実はガスは生きていて、電気が止まっていても自家発電ができました。そういった防災面での利点というのも分散電源には存在しているということでございます。
13
ページが、これからの開発になっているんですけれども、東京ガスと共同で世界最高効率の65%を超える
燃料電池の開発に取り組んでおります。今実証ベースで、東京のいろんなところで実証している最中でございますが、非常に将来的にも社会的な意義が多いと思っておりまして、14
ページ目にそれを示しております。
左側のグラフは、横軸が発電機の設備容量、縦軸が
発電効率を表しますけれども、日本のモデル先進技術の火力発電所、GTCCとかIGCCが今62%ぐらいの効率です。65%の
発電効率というと、それを凌駕するものがたかだか数kWの店舗に置けるようなレベルで実現できると、世の中の電源の常識も変えられる技術ではないかということで開発を進めております。右側のグラフを見ていただくと、横軸が
発電効率、縦軸がCO2の排出係数です。低いほど環境負荷が低いということで、今の電力の
kW当たりのCO2排出量は0.8㎏ぐらいのCO2を出すんですけれども、2030年の
資源エネルギー庁の目標は0.37㎏で、コジェネも65%のものも両方とも、大幅に下回っており、削減効果も大きく、BCPの面でも優れた性能があるということで力を入れて開発をしているというところでございます。
それでは、15
ページ目が本業の
ボイラーでございます。これは、石炭、A重油、
天然ガス、水素の
ボイラー用の燃料を並べており、それに対する蒸気1tを作るときに出してしまうCO2量を並べています。石炭が355に対して、A重油はまあまあ優秀で243まで落ちます。
天然ガスはクリーンな
エネルギーと言われているだけあって161、重油に比べても大きく下がるという中で、水素は燃やして使っても、H2足すO2ですのでH2Oができると。水しか出ないということでCO2排出量がほぼゼロになりますが、非常にCO2削減効果が大きいということで、私ども純水素
ボイラーの開発を達成したということでございます。
燃料として見た水素の課題を16
ページに示しています。安全性、環境性、経済性、この3点でいろんな課題がありまして、水素は分子表を見てもらっても一番最初にある分子サイズの一番小さなものですので、漏れやすいんです。ちょっとした隙間から漏れやすいということと、あと燃やしてみると、実は炎に色がありません。透明な火炎です。都市ガスだったら青色ですけれども、ああいうものが見えづらいというので、火炎検出の
技術開発が必要です。あと、燃焼速度が非常に速い。火をつけると一瞬で走っていくという特徴がありまして、これは燃料配管への火の逆流というものも抑えないといけない。
あと、環境性のところは、燃焼温度が非常に高いということで、燃焼温度が高いとNoxを生みやすいんですね。光化学スモッグの問題のNoxという問題があります。これらをクリアしながら、さらに経済性でいうと、先ほどのような高
コストの課題があるというところでございます。
17
ページ目ですけれども、メタンが
天然ガス、都市ガスです。プロパンというのがLPGですけれども、それらに比べてこれぐらい燃焼速度が速いので、逆火に対する防止策を燃料配管内に敷設しております。
18
ページ目ですけれども、燃焼範囲というのがありまして、これは気体中の水素濃度とかメタンの濃度がどれぐらいの割合まであれば燃やすことができるかという範囲なんですけれども、メタンは5から15の間に入れてやらないと燃えないのに対して、水素は物すごい幅広い範囲で燃やすことができる。いわゆる火がつきやすいんです。なので、これらの安全性を担保するために、
ボイラーにはそれらの対策が盛り込まれているという説明です。
19
ページですが、断熱火炎というのは、燃やしたときの火の温度が高いんです。Noxを生みやすいのでNoxを下げる
バーナー開発に取り組み、東京都がNoxに対しては非常に先駆けて規制をかけておりまして、ディーゼルエンジンの都内への流入が駄目になったり、
産業部門においてもNoxの排出規制が非常に厳しくなっておりますが、その東京都の認定を弊社の水素
ボイラーはクリアし、グレードH低Nox・水素燃料使用の認定を受けまして、東京都内にも設置してよい唯一の水素燃料
ボイラーになっております。
20
ページが水素
ボイラーのラインアップでございますが、小さなタイプから大きなタイプまで、まだ3種類しかラインアップしていなくて、これは非常にお客様からのニーズも多く、ラインアップを今後拡充していくということと、まだまだ高
コストな
ボイラーですので、これの
コストを下げていく取組をやっていくということでございます。
21
ページですけれども、では、
ボイラーから見た水素がどこからやってくるのかというところでございます。現在は水素インフラは整っておりませんので、
化石燃料由来の水素を活用しているというのが現状でございます。それはどこにあるかというと化学業界。化学工場は炭素Cと水素Hを組み合わせていろんな有機物を作るのが仕事でございますので、炭素と水素をくっつけたり、引き離したりしているんです。その中で炭素が余ったり、水素が余ったりということが作っている製品によってありまして、それが余る業界というのがあります。ソーダ業界、苛性ソーダを作っている工場だと水素がどうしても余るので、その余剰水素は今までは大気に捨てていたケースが多うございました。捨てるぐらいであれば燃料として活用するという提案を今ソーダ業界に働きかけ、多くの採用をいただいております。将来的には海外からの水素が入ってきてインフラが整っていけば、当たり前の燃料となっていく可能性もございますし、国内に目を向けると、再エネを増やしていこうという中で、今、九州電力では百数十日、太陽光の発電所を止めている。受け入れられないので止めているという状況なんですけれども、そういった余剰電源を活用して電解水素を作り、
ボイラー燃料に使うという、こういう時代もやってくるんじゃないかと思っております。
その取組が22
ページ目以降にお示ししておりまして、22
ページ目は、化学工場での水素
ボイラーの利用例です。お客さんは岡山の大阪ソーダのグループ会社で、化学繊維を作る過程で余る水素を活用して水素
ボイラーで蒸気を起こすということで、
化石燃料を大幅に削減できたということです。これもグループ会社に大きく水平展開をいただいている最中でございます。
23
ページ目が、村尾補佐のほうでも説明がありましたが、山梨県の再エネ水素の実証に私どもも関わっており、もう終わったんですけれども、第1期目は3年間、米倉山というメガソーラー発電を余剰発電と見立てて電気分解で水素を作って、それをボンベに詰めてお客様に運んで、弊社の水素
ボイラーで使うという実証をやってまいりました。
24
ページ目、今第2期に突入しているんですけれども、これを今度は社会実装を
イメージできる大型化をしていこうとしています。今、日本最大の
水素製造は福島で10MWなんですけれども、それを超える16MWの設備を造ろうと進めております。16MW、さっき5kWで1立米の水素ができると申し上げましたので、何千立米という物すごく大きな
エネルギーが、水素がここで生まれていくことになります。弊社も、それに合わせた大型の
ボイラーをここに御提供するということで、堀江のほうで今、
研究開発を進めている最中でございます。
それで、25
ページですけれども、
研究開発を行うために、やはり水素が必要で、今までは水素ボンベでラボベースで試験をしていればよかったんですけれども、大型化するとなると結構まとまった量が要るということで設備投資をしました。今1,800立米の水素を蓄えられる貯留設備を建設しまして、これでも大型の
ボイラーだと数時間しか燃焼させることができないので、毎日このボンベを交換しながら試験をしているという現状でございます。
それで、申し上げたいのは、
カーボンニュートラルに関して、一足飛びに
エネルギーインフラが整うということもないですし、
コストが安くなるということもないということ。なので、今やるべきは高
コストな水素等に向けて、徹底した省エネを今まで以上にやっておく必要があると考えていることと、社会実装されてきたときに向けて御提供できる機器、サービスの開発を進めていくという、この2つが私どもが今取り組んでいる大きな行動ということになります。
私からの御説明は以上でございます。御清聴どうもありがとうございました。
○(
岡田志朗委員長) 以上で説明が終わりましたので、画面同期を解除します。中央に発表者が会議を終了しましたの表示が出ますので、その下のオーケーを押してください。これで同期は解除されました。
それでは、委員の皆さん、議題に対する質問はございませんでしょうか。
○(
高橋英行委員)
三浦工業の
エネルギーに対する使命感というか、そういったことが非常に伝わってきました。私も全然知らないことを学ばせていただきまして本当にありがとうございました。
大きな話になりますけれども、水素に関わる行政支援とか、それから、今後、こういったところを行政に望みたいとかというのがもしあれば、また、これまでの開発に関しても、環境省などから補助を頂いたとか、補助があることによって、これが実現できたとか、そういったものが直近であれば教えていただきたいと思います。
○(
山本参考人) 我々メーカーとしては、今のフェーズだと社会的な実証でもいいので、水素が使われている
イメージがつくような取組が重要です。山梨県のものは、まさに工場の皆さんが将来の自分たちの
エネルギーを
イメージできる取組をやられていまして、なかなか企業単体では将来の採算性も考えないといけないので、そこに投資というハードルがあるんですけれども、そういった取組は行政機関だからこそできる部分もあるのではないかと思います。例えば
燃料電池一つとっても、東京都は小池知事が非常に積極的で、都が率先してFCバスの導入もやったというようなところもあります。
私もやっぱり四国、愛媛に愛着があるんです。愛媛がやはり四国では一番を走ってほしいんですけれども、徳島が今、結構知事が積極的で、県庁に移動式ですけれども
水素ステーションを置いたりといった取組を進めており、愛媛県でも県民の皆さんに見ていただけるような取組をやっていただけたらと思っております。
○(
高橋英行委員) 今日は環境局の局長も来られています。その辺はしっかりと受け止めていただけるだろうと思いますし、残念ながら、
資源エネルギー庁の方はおられなくなってしまいましたけれども、そういった面でのメーカーの立場の訴えも、我々も事あるごとにしっかり訴えていきたいと思いますし、協力していきたいと思います。
あと1点だけ教えてください。東京都がそういった形で積極的に対応して、東京ガスのモノジェネとかコジェネなんかもなるほどなと思うんですが、四国、愛媛はLPガスで都市ガスとはちょっと違いますので、その辺の開発がもしあるのであれば、実現も早いんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどういった状況になっていますでしょうか。
○(
山本参考人) 技術レベルでいうと対応は可能ですが、物として商品化しているかというとしていません。理由は、都市ガスよりLPGは何倍も
エネルギーコストが高く、経済性が整いにくいので、まず都市ガスできちんと量産に持っていけた後に、必要であれば開発に着手するということになろうかと思います。そんな順番で考えています。
○(笹岡博之委員) 随分進んでいるんだなと思いながら、お話を聞いておりました。
アンモニアのことなんですけれども、混焼という形で水素と
アンモニアを混焼させるとか、いろんなやり方があるようですが、
アンモニアを使うというのは貫流
ボイラーの
エネルギーとしては可能なんでしょうか。
○(
山本参考人)
アンモニアも燃料として扱うことは可能ですし、各社も当然やっています。ただ
アンモニアはいろんな特徴がありまして、まず燃えにくいんです。そういう意味でいうと、燃焼安定性の
研究開発が今一番重要で、日々汗を流しているところでございます。
あと、社会実装においての課題でございますが、毒性が非常に強いということと、あと、お亡くなりになる事故も過去にたくさんありまして、ヒートポンプの冷媒で
アンモニアが使われるケースがあるんですけれども、そういったところで漏れて事故が起こったという話もございます。
あと、臭いの問題です。これは未燃で大気に出してしまうと物すごい
アンモニア臭がします。鼻をつく刺激臭です。近隣への配慮で使える場所を選ぶと思っております。あと、化学式でいうとNH3が
アンモニアでございますので、燃焼反応させるとNO2とH2O、NO2ですからNOxを大量に発生させる可能性があり、それを除去する技術が必要になってきます。いろんな課題がある中で、日本が
アンモニアを燃料といっているのは、欧米諸国から見るとかなりガラパゴスに受け取られています。石炭火力を抱える日本だからこそ、そこの延命化のために脱炭素で
アンモニアという流れになっておりますが、ただ
アンモニアは大規模な石炭火力発電所等での混焼及びその近隣エリアでの産業利用も、
アンモニアという毒とか問題をコントロールできる大手企業に限られると思っていて、家庭に
アンモニアが来ることは非常に非現実的ではないかと思っています。
○(笹岡博之委員) ありがとうございます。よくそこら辺のことが分からなかったんです。今日、丁寧に教えていただいて、ガラパゴス化しているということはよく分かりました。
○(
山本参考人) 今の補足ですけれども、
エネルギーとしての
アンモニアは優秀だと言われていまして、船舶の燃料としての
アンモニアは可能性があり、非常に有意義かとは思います。
○(
森高康行委員) 御社の存在は、愛媛県にとっても、創業者の株の寄附等で非常にいい運用がされているということで敬意を表したいと思います。今東京、大阪との連携の話とかは説明に出てきたんだけれども、愛媛の企業、四国電力や地元のガス会社との連携などお話しいただける範囲でお聞きしたいと思います。
○(
山本参考人) 今まさに検討している最中でございまして、四国で再エネを利用した取組を二神さんたちと一緒に、地場の
エネルギー会社も交えて具体的に進めております。ちょっと今それ以上は言えないんですが、私どもにとっても日本初の取組になりますし、四国にとっても初めての実証になるのではないかという、少しフラッグシップな取組をやっております。もう少しお待ちいただいたらと思います。
○(
森高康行委員) 期待したいと思います。それから、御社は愛媛大学工学部の卒業生が多いと思うんですけれども、愛媛大学はじめ四国の研究機関との連携というのはどれぐらい進んでいるんですか。
○(
山本参考人) 環境技術での連携はございますが、ダイオキシンとか土壌の分析といったところに限られている
イメージがありまして、
カーボンニュートラルへの研究機関の取組というと、どちらかというと全国的というか、日本を超えないといけないので、海外の企業との連携であったり、NEDO、産業技術総合研究所との共同研究、そういったことを行ってきております。
○(三宅浩正委員) 創業者夫妻のめおと展を先般拝見させていただいて、本当に懐の深い企業理念につながっているものを何か感じました。本当に心から敬意を表したいと思います。
資料の24
ページに、不安定な電力を高品質な水素に変えて活用するというところがございますが、これも随分以前から本当にできたらいいねとみんなが期待をしていたところです。
再生可能エネルギーはためられない、それを水素に変えてためていけるという、本当にこれは社会に実装されると大変ありがたい技術だと思いますけれども、これが2025年度までが実証事業という、ここにある基金の事業で今やってらっしゃるということですが、これからどんな形でこれが進んでいって、どれぐらい先に社会に実装されるのかなんてことが大変気になるわけでありますけれども、今後の見通しなどについてお聞かせいただけないでしょうか。
○(
山本参考人) この24
ページの取組は、日本で水素を製造するという地産地消
エネルギーの話で、直近でいうと九州電力は太陽光発電を140万kWぐらい受け取れないで止めているんです。もったいないという議論はすぐにでも起こるべきだし、そういう議論が進んでいくのは早いと思っていまして、四国に目を向けますと、四国も太陽光には恵まれた日照量を持っておりますので、九州に続いて四国はいいエリアなのではないかと思っております。
○(戒能潤之介委員) 数年前に御社から話を聞いたときに、中国で非常に調子がいいんですよという話をお伺いしたことがあります。中国の、時々ニュースが入ってくる映像を見ると、過去には
化石燃料を使って、昼でも空が見えないというような相当に環境汚染が進んでいる地域があるんだな、CO2も莫大に出しているんだろう、そういうふうに思うんです。地球規模でこういう
カーボンニュートラルに取り組むときに、中国辺りは無視できませんが、参考までに中国にかなり入って展開している立場から、ガス化ということで排ガス
ボイラーになるのかなと思ったりもするんですけれども、どういうふうな展開をしているのか。
それと、
カーボンニュートラル、環境問題、CO2削減みたいなことに対して、中国はどんな受け止め方をしているのか。我々はニュースでしか分からないので。急速なガス化ということで、そこはちょっと意識して取り組んでいるのかなという感じはするんですけれども、現地で実際、国内の考え方みたいなところはどんな感じになっているのか、その辺もし参考までに分かれば教えていただきたいと思います。